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ラジコンカーのサスペンションセッティングで重要なリバウンドストローク調整
ラジコンカーに限らずサスペンションが付いている自動車は、走行中に沈んだり持ち上がったりします。
サスペンションは路面の凸凹を吸収するだけでなく、加重移動による前後のピッチングやコーナリング中の遠心力によるロールでも、上下動しながら複雑な動きをしています。
ラジコンカーでは、沈み側のコントロールはスプリングで制御できますが、伸び側のコントロールはリバウンドストロークで制御します。
しかしリバウンドストローク調整は、ラジコンカー初心者にとって難しいセッティング項目です。
そこで今回はリバウンドストロークについて解説していきましょう。
リバウンドストロークとは
ラジコンカーを上から押さえるとダンパーが縮んでいき、シャシーが路面に接触します。
反対にラジコンカーを持ち上げるとダンパーが伸びていき、やがてタイヤが路面から離れていきます。
リバウンドストロークとは静止状態(1G状態)からシャシーを持ち上げていき、タイヤが路面から離れるまでの距離のことをいいます。
バウンド側(縮み側)のストローク量は車高(最低地上高)で決定しますが、リバウンド側(伸び側)のストローク量はダンパー長またはロアアームの可動範囲で決定します。
サスペンション全体のストローク量を変えずに車高を変化させると、リバウンドストローク量も変化します。
例:
サスペンションストローク10.0mm、車高5.0mmの場合
リバウンドストローク量は10.0mm-5.0mm= 5.0mmとなる。
サスペンションストロークを10.0mmのまま、車高を4.0mmに下げると
リバウンドストローク量は10.0mm-4.0mm= 6.0mmとなる。
車高とリバウンドストローク量は相反関係になっています。
セッティング結果を定量化したいときは車高を変化させてもリバウンドストローク量を変化させないなどの工夫をしないと、車高による特性変化なのかリバウンドストローク量による特性変化なのか分からなくなるので注意しましょう。
リバウンドストロークを調整する
リバウンドストロークを調整するときは、タイヤを外したラジコンカーを平らな板の上またはブロックの上に乗せて、ロアアーム先端やアップライト下部などの高さを測定します。
定規やノギスでも測定できますが、車高やリバウンドストロークを階段式に測定できるハイト&ドゥループゲージがあると便利です。
リバウンドストロークはロアアームに付いているダウンストップ調整用のイモネジや、ダンパー長を変化させることで調整できます。
リバウンドストロークを調整するときは左右同じポイントで測定して、左右の高さが同じになるように調整しましょう。
リバウンドストロークを調整するとどうなるのか
車高を変化させずにリバウンドストローク量を増やしていくと、ロールやピッチングでもなかなかタイヤが路面から離れにくくなるのでグリップ感が増加します。
しかしサスペンションストローク量が増えるので、全体的に腰高感が増してダルなステアリング特性になってしまいます。
反対に車高を変化させずにリバウンドストローク量を減らしていくと、キビキビ感が増しますがタイヤのグリップ感は希薄になっていきます。
コーナー進入時にアクセルをオフにした瞬間にリアのスライド量が多いときには、リアのリバウンドストローク量を増やすことでグリップ感を向上してスライド量を減らすことができます。
コーナー脱出時のパワーオンでオーバーステアが出るときには、フロントのリアのリバウンドストローク量を減らしてリフト量を減らすことでフロントタイヤのグリップ感を減少させることができます。
リバウンドストローク調整は、ラジコンカーのセッティング箇所の中で難しい項目のひとつです。特に重要なことは、車高を変化させたらリバウンドストローク量も変化するということです。
セッティングするときは車高またはリバウンドストローク量を一定にしておかないと、どちらの効果で特性が変化したのか分からなくなります。
特にスプリングを交換したときは車高、リバウンドストローク量共に変化するので、基準値に戻すよう注意してください。