ラジコンカーの歴史【1/12電動レーシングカー編】

電動ラジコンカー歴史1/12電動レーシングカーから始まりました。

1970年代に登場してから40年余り経過した現在でも1/12レーシングカーは、純粋なレース用マシンとして多くのRCファンが楽しんでいます。

今回は1/12電動レーシングカーの歴史を振り返っていきましょう。

この記事の目次

ラジコンカーブームの火付け役となったタミヤ・ポルシェ934

1970年代に入ると数社から電動ラジコンカーが発売されました。

この頃のラジコンカーは1/8エンジンレーシングカーが主流で、電動カーはトイラジコンの発展形のような存在でした。

ラジコンカーの歴史~1/12電動レーシングカー編

1/12電動レーシングカーの創成期でもっとも有名なのが、タミヤが1976年に発売を開始した「ポルシェ934」です。

1/12スケール・プラモデルのボディを流用して、ジュラルミン板のプレス加工品を駆使したシャシーから構成される電動ラジコンカーでした。

スーパーカーブーム真っ只中に発売されたこともあって、発売後1年間で10万台を売り上げた伝説のラジコンカーです。

ラジコンカーの歴史~1/12電動レーシングカー編

ポルシェ934の販売10万台を記念して、1977年に「ブラックポルシェ」が限定発売されました。

現在でもRCマニア垂涎の的で、未組み立てキットはオークションなどで超高値で取り引きされています。

この当時はバッテリーやモーターが目まぐるしく進化した時代でした。

ポルシェ934が発売されてから2~3年の間でも、バッテリーは単2乾電池×4本→単2充電電池×4本→サブC バッテリー×5本パック(6.0V 1200mA)→サブCバッテリー×6本パック(7.2V 1200mA)と進化していきました。

ハードプラスチックカバーで、1本飛び出たラクダ型タミヤバッテリーを覚えている方も多いでしょう。

サブC ニッカドバッテリーといえばサンヨーですが、この当時から電動ラジコンカーに力を入れていた電器メーカーでした。

電動工具などがコードレス化したのは、サンヨーが電動ラジコンカーのノウハウを基にニッカドバッテリーを進化させていったことが要因です。

この当時のモーターはマブチモーターが全盛の時代で、RS360モーター→RS380モーター→、RS540モーターと進化していきました。

RS540モーターは今でも電動ラジコンカー用モーターの基準となっています。

スピードコントローラーも試行錯誤を繰り返した時期です。

固定抵抗を用いた2段式や、巻き線ニクロム抵抗の上をスライドさせる無段式スピコン、マイクロスイッチやオムロン製リレーを流用したON-OFFスイッチタイプなどメーカー製、自作を含めて様々なスピコンが存在した時代です。

世界に目を向けると、アメリカ・アソシエイテッド社が1978年からRC12Eを発売しています。

すでに1/8エンジンレーシングカー界で一流メーカーとして君臨していたアソシエイテッド社から登場した1/12電動レーシングカーは、完全にレースを意識した設計となっており、タミヤ・ポルシェ934とは一線を画すものでした。

この当時、アソシエイテッド社製品を輸入・販売していたのは横堀模型(現ヨコモの前身)でした。

1ドル=360円で計算されていたので非常に高価な代物だったようです。

ラジコンカーの輸入品は、変動相場制になってからも長い間1ドル=360円で計算されていました。

3Pボールサスペンションの登場

タミヤ・ポルシェ934が大ヒットしたラジコンブーム以降、様々なメーカーが1/12電動レーシングカーに参入してきました。

特に1980年代に入ってからは、ありとあらゆる駆動方式やサスペンションが試されて消えていきました。

この頃のサスペンションはアソシRC12iで採用されたメインシャシーに切り込みを入れてFRPの柔軟性を利用したものや、アメリカ・デルタ社のスーパーフェイザーで試されたリアのTバー方式などがありましたが、その中でも画期的だったのが「3Pボールサスペンション」の登場です。

ラジコンカーの歴史~1/12電動レーシングカー編

3Pボールサスペンションは1986年にアソシRC12Lで採用されたサスペンションです。

それまでのTバー固定法と違い、Tバーとシャーシの接合部にボールを介しているので、ロール方向がフリーとなって路面追従性が格段に向上しました。

このボールポイント方式はギル・ロッシ(現Team Losi Racingの創業者)が考案したといわれていますが、その後の1/12電動レーシングカーの方向性を決定づけた画期的なサスペンションです。

IFMAR世界選手権1/12電動レーシングカー部門は1982年から開催されています。

Kent・Clausen、 Tony・Neisinger、 Arturo・Carbonell、 David・Spashettなど数多くのチャンピオンが誕生しましたが、もっとも偉大な選手といえば「広坂正美選手」でしょう。

広坂正美選手は1/12電動レーシングカー世界選手権で、3連覇を含む計5勝をあげています。

Tバーからリンク式サスペンションの時代に

3Pボールサスペンションは1/12電動レーシングカーだけでなく、プロテンやF-1などでも採用されてダイレクトドライブカー(DDカー)のサスペンション方式として長い間使われてきました。

ラジコンカーの歴史~1/12電動レーシングカー編

しかし現在ではリンク式サスペンションが主流になっています。

ボールポイント方式の欠点であった左右ホイールベースの狂いやセッティングのシビアさは、リンク式サスペンションになってほぼ解決されています。

かつては路面グリップとの戦いであった1/12電動レーシングカーですが、現在では室内サーキットやカーペット路面の普及によって高いグリップ感を楽しむことができます。

またバッテリーとモーターの劇的な進化によって、バッテリーの持ちを計算しながら8分間を走り切るテクニックも過去のものとなりました。

ツーリングカーやラジドリが脚光を浴びているオンロード電動ラジコンカーですが、操縦テクニックを学ぶには1/12電動レーシングカーがもっとも適しています。

もし将来ビッグレースで活躍したい夢があるなら、1/12電動レーシングカーを始めることをおすすめします。

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