➤➤ラジコンカーのエンジン構造もご覧ください
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ラジコンエンジンには慣らし運転が必要です
エンジンラジコンカーで必ず行わないといけない儀式がエンジン慣らし運転です。ブレークインともいいます。
初めてエンジンカーに挑戦するときに、一番の障害になるのがエンジン慣らしです。ラジコンエンジン初心者の人は、エンジンの音や回転数などを判断できない段階なので無理もありませんね。
サーキットに行けばベテランに指導を受けられるかもしれません。
しかし最終的には自分でエンジン慣らし運転をマスターできるようになりたいものです。
まずはエンジン慣らし運転の方法を学んでいきましょう。
ラジコンエンジンカーの慣らし運転はなぜ必要?
そもそもなぜ慣らし運転が必要なのでしょうか。
プラグを外してフライホイールを反時計回り(左回転)させていくと、一定のところで急に固くなるのが感じられると思います。
ラジコンのエンジンはピストンリングを持たず、ピストン外周上部とスリーブ内壁で気密性を保つようになっています。
スリーブは上にいくほど狭まっていくテーパー状に加工されているので、上死点付近でピストンとのクリアランスがほぼゼロになり常温では抵抗を感じます。
慣らし運転ではこの上死点付近のピストン&スリーブの擦り合わせを行い、適正寸法に仕上げることが主な目的です。
その他の摺動部分(クランクピンとコンロッドメタルなど)の擦り合せも同時に行います。
もうひとつの目的は、熱歪みを起こさせて実際の運転温度に近い条件で各部品を慣らさせることです。
熱歪みを起こさせる必要があるので、常温近くのエンジン温度で慣らしをしてもほとんど意味がありません。各部を過磨耗させてしまうこともあるので注意しましょう。
第一段階は車載状態でのエンジン慣らし運転
エンジン内部に切削粉が残っていることがあります。特に外国製エンジンはそうです。
完全にバラして洗浄するのが一番ですが、エンジン初心者でいきなり完バラはオススメできません。
バックプレートを外してエンジン内部をエンジンメンテナンススプレーかWD-40で洗浄しておきましょう。
点火プラグはラインナップの中で一番ホットタイプを用意しておきます。
最初のエンジン始動では、フライホイールを回すことが困難なことが多々あります。
コンセントから電源がとれる場合はドライヤーでエンジンを温めましょう。ドライヤーが使えない場合はホッカイロなどでヘッド周囲を包んで温めるのも効果があります。
約50度くらいまで温めればいいでしょう。もちろんトーチなどの火気で炙ってはダメですよ。
スリーブを熱膨張させて始動を容易にします。
プラグを緩め、ニードル位置は出荷のままでスターターでクランキングして燃料をキャブレターに導きます(燃料チューブで確認できます)。プラグを締めてポケットブースターなどで通電したらいよいよ始動です。
スロットル開度はアイドリングより少し開け気味にしてエンジン始動しましょう。意外とあっさり掛かると思います。
もし、フライホイールがロックした場合はシャシー裏からマイナスドライバーをテコのように使ってフライホイールを回します。そして、もう一度エンジンをドライヤーなどで温めなおして再トライしましょう。
エンジンが掛かったら数分アイドリングより高めで回して温度を上げます。
なお、マシンはスターターの上に置いたままにするか、台の上に置くかしてタイヤは地面から浮いた状態にします。
そこからフルスロットルにしてメインニードルを素早く回してエンジン音が澄んだ高温ではなく、濁った連続音になるようにします。※動画の状態はニードルが甘すぎで4サイクルサウンドになっています。これだと甘すぎで温度が上がらないのでもう少しニードルを絞りましょう
ヘッド温度は50度付近になればOKです。上がらない場合は自転車のチューブなどを輪切りにしてヘッドを包むと保温されて温度が上がります。
大体2~3分で燃料タンクが空になりますのでガス欠には注意します。また、燃料補給時には必ずスロットルをアイドリングに戻すようにします。
フルスロットルのまま、燃料タンクで2~3タンク燃料を消費したら車載慣らしの第一段階終了です。
エンジンカーを始めるときにぶつかる壁がエンジンの慣らし運転です。
エンジンのベスト状態を知らない人がいきなり慣らし運転をすることはかなり困難なことなので、できればエンジンの取り扱いが上手な人に見てもらいながら慣らし運転をしたほうがいいでしょう。
車載状態でのエンジン慣らし運転は上手くいったでしょうか。続いては実走行させながらの慣らし運転に移ります。
第二段階は走行させてのエンジン慣らし運転
次は走行させての慣らし運転です。
先ほどの状態でエンジンを始動させてエンジンを温めます。
その後、走行させますが、メインニードルが甘すぎの状態なので、1/2回転ずつ絞っていきラジコンカーが走り出すようにします。
スピードは人間が走るくらいになるまでメインニードルを絞っていき、なるべくスロットル全開のまま4~5タンク走行させます。ヘッド温度は50~60度くらいになるようにヘッドをチューブなどで覆うように工夫しましょう。
最後の1タンクではマシンを加・減速させて当たりをとるようにします。もし、加速時にエンストするようであればスローニードルを1/4回転ずつ絞っていきます。
トータルで10タンク程度燃料を消費すれば慣らし運転はほぼ終了です。
エンジンが温まっているときにプラグを緩めてフライホイールを手で回して引っかかりなく回転すればOKです。もし抵抗を感じたら、あと4~5タンク走行慣らしをしましょう。
慣らし運転後にはプラグの番手を元に戻し、走行させながら少しずつメインニードルを絞っていきピークを出していきます。
その後、スローニードル調整とアイドリング回転数調整をして慣らし完了となります。
プロペラを使ってのエンジン慣らし運転
ベテランになると、プロペラを使ってのエンジン慣らし運転が主に行われています。
一定負荷を掛けての慣らしが可能で、マシンを走行させる必要がないという利点があります。
しかし慣らし方法や安全性を熟知していないとエンジンを壊すだけでなく、高速回転するプロペラで非常に危険なので、参考程度に知っておく程度でいいでしょう。
エンジン慣らしは最初の始動とメインニードル調整が難関ですが、一度覚えてしまえばなんとかなるものです。
丁寧に慣らされたエンジンは高性能を長く楽しむことができます。
エンジン慣らしは電動カーにはない面倒でもあり、楽しいものでもあるので頑張って慣らしましょう!