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ラジコンカーの走行特性を大きく左右するスプリングとオイルダンパー
ラジコンカーのサスペンションセッティングでは、キャンバーやトーといったアライメント調整とともに、スプリングやオイルダンパーの調整がとても重要です。
そこで今回は、ラジコンカーの走行特性に大きく影響するスプリングと、オイルダンパーのセッティングについて説明していきましょう。
※アライメント調整に関しては「➤➤ラジコンカーのサスペンションセッティング方法・基本【アライメント】」を参考にしてください。
ダンパーセッティングの基本はスプリング選びから
ラジコンカーで多く採用されているサスペンション形式がダブルウィッシュボーンです。
ダブルウィッシュボーン形式には、前後左右それぞれに1組のコイルスプリング・ダンパーユニットが取り付けられています。
1/12EPレーシングカーや1/10F-1などのダイレクトドライブカー(DDカー)の場合は、リアサスペンションのピッチング方向のみコイルスプリングとオイルダンパーで制御しています。基本的な考え方は同じことです。
サスペンションに装着されたスプリングの主な役目は車重を支えることです。
車重に対してスプリングが柔らかすぎれば、車体を支えきれず底付きして走れません。
反対に固すぎるスプリングの場合は、路面からの衝撃を受けてもスプリングが縮むことができないので、サスペンションが作動できずに跳ねてしまいます。
同じ車体であっても、軽量化パーツを組み込んだマシンとノーマル状態のマシンでは車重が異なります。
そのためノーマル時にはベストだったスプリングでも、車体に軽量化を施すことにより固くて跳ねるスプリングに変化することがあります。
ラジコンカーに限らず実車でも同様ですが、まずは車重に見合った固さのスプリングを選び、次にオイルダンパーのセッティングを行います。
そのため固さの異なるスプリングに交換したときには、オイルダンパーのセッティングを再調整しなければならないことを覚えておきましょう。
なおオイルダンパーありきでスプリングをチョイスすることはありません。
ダンパーの取付け角度によってスプリングの固さが変化する
ラジコンカーのダンパーステーには、複数の取付け穴が設けられています。
これはダンパーの取付け角度を変えることにより、ダンパーのストロークを増減させる狙いがあるからです。
基本的にロアアームが水平、ダンパーが垂直の時にダンパーストロークが最大になります。
ロアアームの角度とロアアーム側のダンパー取付け位置はそのままにダンパーの角度を車体の中心線に向かって寝かしていくとダンパーストロークは小さくなっていきます。
ダンパーストロークが小さくなるほどスプリングが縮む量が減るので、ダンパーを寝かせるとスプリングを柔らかくしたのと同じ効果があることを知っておきましょう。
ダンパー角度のセッティング例として、
- 路面グリップが悪いときにはダンパーを立てて柔らかいスプリングを使う
- 路面グリップが高いときにはダンパーを寝かして固いスプリングを使う
このような方法があります。すべての場面で当てはまるわけではありませんが、基本的な考え方として頭に入れておいてもいいでしょう。
オイルダンパーはスプリングに合わせてセッティングする
オイルダンパーにはスプリングの余分な伸び縮みを制御する効果と、サスペンションが上下動するスピードをコントロールする役目があります。
ラジコンカーのオイルダンパーは、ピストンに開けられた小さな穴をオイルが通過する抵抗を利用して減衰力を得られる構造になっており、同じ番手のダンパーオイルでもピストンの穴径と穴数の組み合わせで減衰力が変化します。
小さな穴径+少ない穴数で減衰力が強くなり、大きい穴径+多い穴数で減衰力が弱くなる仕組みです。
スプリングの固さに合わせてオイルダンパーの減衰力を決めますが、ロールやピッチングスピードをコントロールする目的でダンパー減衰力を変化させることもあります。
基本的に路面がフラットでグリップが高いときほど、ダンパーを固くして車体の挙動変化を抑える方向にセットしていくと考えていいでしょう。
オイルダンパーに封入するダンパーオイルには、主にシリコンオイルが用いられています。
ダンパーオイルには100番や200番といった番手により種類分けされ、数字が大きくなるほど粘度が固くなります。
ダンパーオイルの番手を上下させるときには、ピストンの穴径・穴数を変更しないのが基本です。
300~500番程度のダンパーオイルを使うことを基準として、その範囲内から外れた固さの番手が必要になる場合にはピストンの穴径や穴数を変更してみましょう。
※オイルダンパーの組み立て方に関しては「➤➤オイルダンパーの組み立て方」を参考にしてください。
スプリングに掛ける予圧(プリロード)でも走りが変わる
ラジコンカーのダンパーユニットには、車高を調整する役目もあります。
車高はハイトアジャストダイヤルやスペーサーで、スプリングに予圧(プリロード)を掛けて確保します。
柔らかいスプリングの場合はプリロードを多く掛け、固いスプリングではほとんどプリロードを掛けません。
このことを応用すると、初期ロールを抑えたキビキビ感を出しながらもしっかりロールするセッティングや、動き始めはしなやかだけど深いロールを抑えた走りを実現することが可能です。