サーキットの路面グリップは最大の関心事
ラジコンカーをサーキットで走らせるときに、もっとも気になるのが路面グリップの状態ですね。
インドアのサーキットなら、路面グリップが変化する要因は気温と湿度の変化くらいです。
ところがアウトドア、特にエンジンカーが走るサーキットでは、路面グリップがかなり変化します。
なぜ路面グリップが変化するのかを解説していきましょう。
最近のエンジンカー用サーキットは路面グリップがあまり高くない
近年、エンジンカー用サーキットの路面グリップが全国的にあまり高くないようです(新設サーキットや再舗装したところは除きます)。
15年以上エンジンカーを走らせている人はハイサイドと呼ばれる、路面グリップが高すぎることによるRCカーの転倒(というより、すっ飛ぶ感じですね)を経験されているはずです。
最近はハイサイドどこではなく、路面ガサガサで「食わない」状態のサーキットがほとんどですね。なぜでしょうか。
スポンジタイヤの硬度は柔らかいものが好まれるようになりましたが、材質は25年以上変わっていません。シャシーは、よりタイヤの性能を引き出すように年々改良されています。
ボディは、ここ最近のエアロダイナミクス効果は凄まじく、数年前のモノとは比較にならないダウンフォースを得ています。
これらを総合すると、今のエンジンカーはもっとグリップ感があってもいいはずです。
燃料が原因となる訳
ところが、ハイサイドを起こしていた頃と大きく変わったモノがあります。燃料です。
エンジンカーの燃料はご存知のとおり、グロー燃料でメタノール+ニトロメタン+潤滑油で構成されています(少し添加剤も入っています)。
ハイサイド全盛の頃の燃料潤滑油は、「ヒマシ油」ベースのモノがほとんどでした。ヒマシ油+合成油ブレンドもありましたが、主比率はヒマシ油が高いモノばかりでした。
このヒマシ油が路面グリップを「上げすぎた」正体です。
ヒマシ油は高温ではサラサラになりますが、低温ではネバネバした状態になります。
マフラーから吐き出されたヒマシ油が路面にバラ撒かれ、気温低下に伴い粘度が上がってベタベタになり、ハイサイドを起こすという構図です。
今後のエンジンカー用サーキットを推測する
近年エンジンカー用サーキットの路面グリップがあまり高くない理由は、燃料の潤滑油が合成油主体に変わったためです。
合成油は気温変化でも粘度があまり変化せず、路面にバラ撒かれてもベタベタになりません。
また、合成油はアスファルトの劣化を早める(表面の油分を奪い去ってしまう)ので路面が凸凹に荒れやすく、これもグリップ低下の一因となっています。
現在の合成油主体の燃料が主役である限り、路面グリップの向上は見込めないでしょう。路面の荒れは益々悪化していくと推測できます。
たしかに合成油主体燃料は、燃料の安定性やエンジン性能、ライフの向上それに汚れにくさなどの利点が多いモノです。
しかしこのような副作用も秘めていたとは皮肉なものです。