ラジコンエンジンのニードル調整【基礎知識・調整方法】

エンジンラジコンカーで一番難しいのがニードル調整

ラジコンエンジンのニードル調整

ニードル調整の基礎知識

ラジコンカーに限らず、ラジコンエンジンの調整はかなりのベテランでも難しいものです。

なぜ難しいかというと、刻一刻と変化する気温や路面状態などに合わせてニードルを微調整する必要があるからです。これには明確な答えがないから難しい問題です。

エンジン調整は主にエンジン音を耳で聞いて状態を判断します。

超エキスパートになれば、他人が走行させているエンジン音を聞くだけで、調整具合をすぐに判断できます。

ニードル調整を覚えるには経験を積むしかありません。

もしエンジンを壊してしまってもガッカリしないでください。限界を経験すれば壊れる直前の状態を体験してるので、エンジン調整をマスターするには一番の近道なのです。自慢にもなりませんが、私はウン百機のエンジンを壊してきました。

しかしある程度のニードル調整は、エンジンを壊さなくても会得できるのでぜひ覚えてください。

ラジコンエンジンのニードル調整はなぜ必要なのか

キャブレター

ラジコンエンジンは、キャブレターで作られる混合気を燃やして運転します。

混合気とは空気と燃料を混ぜ霧状になったもので、混合の割合を空燃比といいます。

ニードル調整とは、この空燃比を最適な状態に調整することが主な目的です。

普段何気なく呼吸している空気も、気温・湿度・気圧で空気密度がかなり異なってきます。

また、燃料もニトロメタン・オイル含有率や粘度が銘柄により様々です。このため走らせる時の空気と燃料の状態に合わせて、その都度ニードル調整をする必要があるのです。

ニードル調整には許容範囲があります。

ニードルを左に回して燃料量を濃くしていくと最高回転が上がらなくなり、加速が鈍くなります。

逆にニードルを右に回して燃料量を薄くしていくと最高回転が上がっていき、加速が鋭くなります。

また、ニードルを開け過ぎて(濃くし過ぎて)いるとエンジンが連続運転しなかったり、加速時にエンストしたりします。

あまりにも燃料が濃い場合はエンジン始動できなかったりウォーターハンマー現象でコンロッドを破損することがあります。

ウォーターハンマー現象とは、燃料が液体のまま燃焼室に入り込んでピストンの圧縮で体積変化できず、そのシワ寄せでコンロッドなどが曲がってしまうことです。混合気と違って液体は圧縮できませんからね。

また、ニードルを絞り過ぎて(薄くし過ぎて)いると、エンジンがオーバーヒートして連続運転できなくなったり、加速時に息つきを起こして加速しないこともあります。

極端に燃料を薄い状態にするとオーバーヒート~プラグフィラメント溶解~落下でピストン&スリーブに致命的なダメージを与えたり、過歪みが生じて元に戻らなくなます。

ラジコンカーのエンジンは空気冷却だけでな、く燃料でも冷却しているので「少し甘め」の状態になるように調整しましょう。

エンジンラジコンカーで一番難しいニードル調整ですが、覚えるには近道はありません。調子の良い時の音を聞いたり、失敗をしたりして覚えるしかないのです。

どんなベテランでも、ニードル調整を会得するまではかなりの失敗を経験しているはずです。

さて「ニードル調整」の意味は理解できたでしょうか。続いては実際のニードル調整に移ります。

実際のニードル調整のやり方

慣らしが終わった状態のエンジンならば、そのままエンジンが掛かるはずです。

エンジンを始動したらアイドリングより少し高めの回転数で2~3分、暖気運転します。なお、ラジコンカーは地面から浮いた状態にします。タイヤが空回りする状態です。

メインニードルの調整から

まずはメインニードル調整をします。

スロットル全開を2~3秒続けてアイドリングに戻す

全開時に澄んだ音になるようにメインニードルを1/4回転ずつ締めて(絞って)いく

澄んだ音になったら実走調整に移る

なお、加速時にエンストするならスローニードルを1/4回転ずつ緩めて(開けて)いきます。

走行全開調整ではメインニードルを時計の針の10分刻みで絞っていき、最終的には3~5分刻みで調整します。

ガクンとスピードが落ちたら絞りすぎです。10分程度メインニードル開けましょう。甲高く澄んだ音で走行場所の直線部分を走りきれればメインニードル調整は完了です。

一旦マシンを回収し、安全のためにメインニードルを2~3分開けて燃料を少し甘い状態にしておきましょう。こうしておけばエンジン寿命を縮めることなく性能を発揮できます。

メインニードルの次にスローニードル調整

次はスローニードル調整です。

加速時に濁った音でマフラーから多量の白煙を出しながら、鈍く加速するようならスローニードルを1/4回転ずつ絞っていく

逆にスロットルを開けたときにストンとエンストしたら、燃料が薄すぎなのでスローニードルを1/4回転ずつ開けていく

鋭い加速が得られたら、アイドリング調整ネジでクラッチが繋がらない回転数にアイドリングを調整する

これで一通りのエンジン調整が完了です。

温度計を持っているのならプラグ温度を測定するのもいいでしょう。おおよそ100度近辺なら調子がいいはずです。

なお、温度はあくまで目安なので絶対ではありません。常に100度とかこだわっていると本来の調子から逸脱することがあります。

調子がいいときの温度を覚えておいて著しく上下したらエンジンか燃料の不具合を疑うようにしましょう。

ニードル調整の基本は、メインニードルを調整してからスローニードルを調整することです。メインニードルを絞るとスローニードルも絞ることになります。

このことを頭に入れてニードル調整すれば調整に迷ったときでもメインニードルが合っていないのか、スローニードルが合っていないのか悩むことがなくなるはずです。

ニードル調整は経験がものをいうので、何度も反復して体で覚えていきましょう。

 

ニードル調整を進めていってピークに近づいてきたら、慎重かつ素早くニードルを合わせるようにしましょう。特に絞り過ぎの状態が続くと、エンジンに深刻なダメージを及ぼしてしまいます。速やかにマシンを回収してニードルを甘くしましょう。
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