ラジコンエンジンカーの燃料とは【基礎知識】

ラジコンエンジンの燃料って何?

ラジコンエンジンカーの燃料

ラジコンエンジンカーはガソリンや軽油では動きません。

ラジコンエンジンで使われる燃料の主成分は、メチルアルコール(メタノール)です。

これにエンジン内部の潤滑のためにオイルを混ぜています。基本的にはこの2点だけでいいのです(ストレート燃料といいます)。

ただ、ストレート燃料の欠点として、混合気の空燃比がちょうどよくなっていないと燃焼しにくく、ニードル調整が難しいことがあげられます。

そこで現在ではニトロメタンを加えています。ニトロメタンを加えることにより着火が促進されてパワーアップが見込まれます。

また、ニトロメタンを加えることで着火しやすくなったことにより、混合気を濃い状態にしても要求パワーが発揮できるので、潤滑性の向上やオーバーヒートの抑制につながります。

この他に酸化防止剤などの添加剤が少量加えられて、ラジコンエンジン燃料は構成されています。

 

ニトロメタン含有率は使用カテゴリーで選ぼう

ラジコンカー用の燃料は他分野の燃料と比較して、高ニトロ、低オイルなのが特徴です。

ラジコンカーの場合、ニトロメタンの含有率は15~30%がほとんどです。

高ニトロになるほど値段が高くなり、カテゴリーによっては最大ニトロ含有率が決められていることがあるので注意しましょう。

これは私が某燃料メーカーの開発を手伝っていたときの経験ですが、ニトロメタン含有率40%以上で、エンジンパワーの向上はほとんど変化がありませんでした。

逆にニトロメタン含有率を減らしたほうが最高回転が向上しました(ニードルを絞るので)。ニトロメタンは純度と品質でかなり性能が変化します。

国産燃料では比較的安定していますが、外国製燃料に関しては製造ロットでかなりのバラツキがあることが多いので注意が必要です。

 

性能を左右するのが潤滑油

以前の潤滑オイルはヒマシ油が使われていました。

ただ、ヒマシ油は酸化しやすく、熱安定性に劣ることから現在では合成化学油が主に使われています。

合成化学油が登場した頃は性能向上を謳い文句にシェアを拡大し、ヒマシ油が完全に姿を消しました。

しかし合成化学油の欠点である臨界点を越えると、一気に成分が分解してしまうことが災いしてエンジン内部の焼き付きが多発しました。

このことから現在発売されている燃料の多くは、合成化学油+ヒマシ油の構成になっています。

また、潤滑油の含有率が性能に及ぼす影響は、ニトロメタン以上のシビアさがあります。

この潤滑油の含有率が燃料メーカーの腕の見せどころで、性能を決定づけることとなっています。

なお、カテゴリーによってある程度の最適な潤滑油含有率があるので、それぞれのカテゴリーに適した燃料を選ぶようにしましょう。

 

燃料は取り扱いに注意しよう

燃料の価格は缶やボトルの容量が大きいほどリッター当たりの単価が安くなります。

しかし一度開栓した燃料は、空気による酸化が進むのでなるべく早く使い切るようにしましょう。

月に1度程度しか走行させないのに、安いからといって4リットル缶を買うのは止めた方がよいですね。

使い切る前に酸化してしまうのでエンジン内部を腐食したり、ニードルを絞りすぎてエンジンを壊す原因になったりします。

また、高温多湿を避けて、直射日光を当てないようにしましょう。

燃料の取り扱いに気を配ることによってエンジンの性能を引き出すことが可能になります。

 

サーキットなどでは意外とルーズに燃料を扱っている人を目にします。直射日光に晒された燃料はパワーが出ないだけでなく、エンジン内部を腐食させやすくなります。さらに砂塵が混ざった燃料は、ピストンやベアリングを傷つけてしまいます。エンジンの性能を引き出すためにも燃料の取り扱いには注意しましょう。また、アルコールは火が点いても目に見えないのでタバコなどの火気には要注意です。
おすすめの記事